厄よけに鮫小紋
江戸小紋の中で、もっとも代表的な柄といえば鮫小紋ではないでしょうか。
鮫小紋は細かな点を半円形に配しているので、ウロコのようにも見えます。
このような柄の小紋は、身を保護するための堅い鮫皮に似ているところから、この名がつけられたそうですが、身を守る厄よけの小紋としてきました広く愛用されてきました。
よく、「厄年」という言葉を使いますね。
厄年には悪いことが起こるとか、悪いことが起こると「厄年なのかなあ?」と思ったりします。
そんなとき、昔の人はうろこ模様の長襦袢を身につけたそうです。これは今でも習慣として残っていることですけれど、うろこ柄のものというのは厄よけの代名詞みたいな小道具なのです。
女性でしたら、19歳、33歳、37歳が厄年とされていますが(厄年はすべて数え年ですの間違えないように)、それに前厄と後厄を入れたら、3年も厄年が続くわけです。(ちなみに数え33歳が大厄です)
そうなったら、イヤなことのひとつもおこりますよね(笑)
そうすると、やっぱり日本人はマイナス思考になってしまうところがありますね。そんな憂鬱なときに、カラフルな色を身につけたりすることで、気分を晴れやかにすることを昔の日本人は知っていたわけです。
よくいわれるのは、厄年にはうろこ柄のお襦袢を身につけるということですけれども、別に七色の腰紐とかでもいいわけです。腰紐ならば安上がりですし、お守り代わりにいいですね。
もし、鮫小紋の江戸小紋をお持ちならそれをお召しになってください。
お襦袢ではありませんけれども、厄よけとして昔から重宝されてきた柄ですし、江戸小紋のなかでも有名な柄ですのでお持ちの方も多いかと思います。
厄年だったり(厄年が近かったり)、最近ちょっとイヤなことが多いなあなんていうときに、ちょうど江戸小紋を仕立てる機会があったら、鮫小紋にしてみてはいかがですか。
もちろん、ほかの柄の江戸小紋もたいへんによいものだと思いますが、人間、気の持ちようということもありますからね。お守り代わり、お札代わりの鮫小紋、なんとなくいい感じがしませんか。それも身につけるお守り、お札ですから、厄も寄るに寄れないのではないでしょうか。
江戸小紋の文様は多様
江戸小紋の文様は実に多様で、すべてを把握するのはちょっと大変ですが、その中でも有名なものをいくつかご紹介しておきます。
菊菱(前田家の留柄)
極鮫(紀州徳川家の留柄)
御召十(将軍家の留柄)
万筋
千筋
毛万筋(万筋よりももっと細い万筋です)
こぼれ松葉
立涌
大小霰
青海波
鮫(裃小紋三役)
行儀(裃小紋三役)
角通し(裃小紋三役)
小桜
菊
ふくら雀
などです。
鮫、行儀、角通しは錐彫り三役といって、数ある江戸小紋の中でも格の高いものです。
また、小桜(春)、菊(秋)、ふくら雀(冬)には季節があるので、遠目には無地に見える江戸小紋でも季節感が出せます。
ひとつ気をつけたいのは、文様には吉祥文様(たとえば青海波など)とよばれるものがあるのですが、これはおめでたい文様なので、法事などにはむきません。
法事などの弔事に着る場合には色だけではなく、文様にも気をつけてください。
江戸小紋の文様
江戸小紋の文様のもとになった裃は江戸時代の武士が着ていたものです。
江戸時代には、各藩に定め小紋(留柄ともいいます)があって、他藩での使用は禁止されていました。
たとえば
徳川将軍家はお召十(おめしじゅう)
紀州徳川家は極鮫(ごくさめ)
加賀100万石といわれる前田家は菊菱(きくびし)
という具合です。
江戸小紋には留柄をはじめ、数千種の文様があるというそうですが、現在一般的な文様というのは十数種類なのではないでしょうか。
江戸小紋の文様の中でも特に「鮫」「通し」「行儀」というのは、錐彫り三役といって、江戸小紋の文様の中でも最も格が高いとされています。
